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藍染め蒅(すくも)の加工

前回の藍の栽培に引き続き、藍染めに至るまでの工程をNHK大河ドラマ「青天を衝け」第3話でも、渋沢栄一より蒅(すくも)をつくるという言葉がでてきた。蒅(すくも)とは、藍の葉を発酵、熟成させた染料である。

藍の葉を収穫して乾燥させた後、蔵の中で寝かせ、これに水を打って良く湿らせながら上下に撹拌し、約75 – 90日間発酵させたものを再び乾燥させると、酸化して青色に変化し、更にその色が濃くなることで黒色の土塊状の物質が出来る。これを(すくも)と呼ぶ。藍草の葉を、堆肥状にしたものと言ってもよい。

それでは、蒅(すくも)に至るまでの工程を紐解いてみよう。

 

蒅の加工

1)あいこなし

収穫し細かく刻んだ藍葉は、夜霧の翌日、早朝から庭で乾燥し、唐棹(からさお)で叩いて葉と葉脈を分離する。それを藍擂り(あいすり)で摺り込む作業をする。夕刻には大箕でよく乾燥したものを風を起こして飛ばし、葉と葉脈を完全に分離し、葉は葉、葉脈は葉脈で俵に詰め、寝床に保管する。

2)寝せ込み

9月になると、寝床に保存している藍を俵から出し、山積みにしながら水を打つ。4~5日もすると醗酵して摂氏65~70度の高温となる。寝床は、アンモニア臭が立ち込め、目も開けられないほどである。

3)切り返し

この藍の山積みした葉藍が万遍なく発酵するように、20回ほど移動させて動かす。これら切り返し作業を100日程続く。かなりの重労働である。

4)ふとんかけ

蒅(すくも)の仕上げが近づくと、莚(むしろ)で葉藍を覆い(ふとんかけという)平温の状態になるのを待つ。そうすると蒅(すくも)が12月初旬に出来上がる。

5)蒅(すくも)

筵(むしろ)を外すと水分を含んだ蒅(すくも)は団子状になっているので、とおしでおろし、蒅(すくも)が傷まないように手入れをすると、もう商品としての蒅(す)は仕上げとなる。

6)俵詰め

蒅(すくも)が出来上がると、俵に詰め(60kg)で保存する。現代は蒅(すくも)を溶解して染め液を作るが、昔は藍玉にして出荷していた。

 

藍玉

蒅(すくも)の状態では、昔は運搬に不向きだったために、これを杵で打ち固めて乾燥させ、扁円形の小さな塊にすることによって運びやすくした。江戸時代以降は全国各地で流通に便利な藍玉の生産が盛んになっていった。

藍玉は(玉=円い)というイメージがあるが、必ずしも丸く固めていたわけでもなさそうだ。切り出して立方体の状態でもあった。現在武州で製造している藍染めの藍玉は立方体のようだ。(写真参照)

藍玉

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