福沢諭吉、渋沢栄一に学ぶ「仕事と幸せ」の関係
1万円紙幣の顔、福沢諭吉と渋沢栄一
現1万円紙幣の顔、福沢諭吉とこれからの1万円紙幣の顔、渋沢栄一。
偉人の成しえてきたことなどから生まれた訓言を参考に、両名から「人の幸せとは何か。仕事と幸せ」の関係について考えてみたい。
福沢諭吉の言う幸福論は「自分を高める」こと
福沢諭吉は、「個人の独立なくして国家の独立なし」と言った。国民一人ひとりの自覚なくしては、国としての目覚めもない。それがなければ、国が発展しないばかりか、外国に対しての日本の立ち位置もない、ということだ。
反対に自分自身や自国に対する自覚や誇りがなく、外国流だけを見ているのは浮き草のようであるとも言っていた。
福沢諭吉の幸福に関する言葉がある。
「世の中で一番楽しく立派なことは、一生涯を貫く仕事を持つこと。
世の中で一番惨めなことは、教養のないこと。
世の中で一番寂しいことは、仕事のないこと。
世の中で一番醜いことは、他人の生活をうらやむこと。
世の中で一番尊いことは、人のために奉仕して少しも恩に着せぬこと。
世の中で一番美しいことは、すべてのものに愛情を持つこと。
世の中で一番悲しいことは、嘘をつくこと」
(福沢諭吉の心訓より)
心訓は福沢諭吉の言葉ではないとの説もあるが、真理を突いた言葉だ。
一生を貫く仕事を持つことがいかに幸せであるかわかる。
またこのようにも言っている。
「教育の目的は、自分の人生を立派に送り、自分を高めることである。これは人が最大の幸福を得ることにつながる」
あなたは自分自身を高めているだろうか?
渋沢栄一の言う幸福には「夢」が不可欠
渋沢栄一は、江戸時代末期の天保11(1840)年、現在の埼玉県深谷市に生まれた。生家は畑作、養蚕、藍問屋を営む農家だった。幼いときから勉強好きで、7歳の頃から『論語』を読んでいたという。また14歳の頃には大人並みの経営手腕を持っていたといわれている。
彼は江戸末期から明治維新という激動の時代に生きた。
西洋列強の脅威に対するために富国強兵が必要であるが、今の支配階級(武士)ではいけない。むしろ民間の力を結束させ活用しなければならないと考えた。そうしないと、軍艦や大砲を買うことすらできない。ことなかれ主義ではダメであり、当事者意識を持った民間が、自らの信用を高めて国力を上げるべきだと思っていた。
27歳のときに洋行、欧州各国で先進的な産業や社会を実見し、大政奉還にともない帰国した。銀行をはじめ東京瓦斯、東京海上保険(現東京海上日動火災保険)、王子製紙(現王子ホールディングス・日本製紙)など、多くの企業や教育機関、社会公共事業の設立にかかわり、のちに資本主義の父と呼ばれた実業家、慈善家となっていった。
江戸時代においては、支配階級(武士)が商売をすることは「卑しい」と見なされていたが、渋沢栄一は論語の精神を持ってビジネスを進めるべきと『論語と算盤』を出版し、道徳と経済の両輪が幸福を持続することだとであると伝えた。
渋沢栄一は、信用第一を唱えた。「信用は実に資本であって、商売繁栄の根底である」
現代も企業にとって大切なものは信頼であり、それは財産である。それこそが商売の繁栄の基礎であるということだ。
また、利他の精神についても述べている。
「単に自己の利益のみを主とし、利益を得んがために、商売をなすというならば、すなわち報酬を得たいために、職務を執るというに同じく、つまり報酬さえ得れば、職務はどうでもよいことになる」
渋沢栄一は、幸福を求めるには夢がなくてはならないと、この言葉を残した。
「夢なき者は理想なし。
理想なき者は信念なし。
信念なき者は計画なし。
計画なき者は実行なし。
実行なき者は成果なし。
成果なき者は幸福なし。
ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず」(渋沢栄一の夢七訓より)
幸福は自分の思い次第であると言っている。
「世の中の事はすべて心の持ちよう一つでどうにもなる」
運についてもまた、このように述べている。
「世人は、一も二もなく彼を順境の人と思うであろうが、実は順境でもなく逆境でもなく、その人の力でそういう境遇を作り出したに過ぎない」
何事も自分の思いどおりに運んでいる人を「運がいい」というが、運がいいとか悪いとかの話ではなく、その人が努力をした結果そういう境遇を作り出したのだ。夢を持ち、信頼され、他人のためにも努力している人が、それなりの結果を出すのだが、それを周りの人が「運がいい」と呼んでいるだけである。
今のあなたは夢をもって進んでいるだろうか?今一度自分に問うてみたい。
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