名家旧家の「家訓」から現代に通じる教えを学ぶ
家訓とは家庭で伝えたい祖先や偉人たちの教え
日本では、名家・旧家と呼ばれる家には「家訓」という先祖代々伝わる教えがあり、文書で残っている場合もある。
それら「家訓」は、名家や旧家においてのみ残されてきたものと思われがちだが、家訓はそのような家系だけの特別なものではなく、農家や商家になどにもある。仕事で必要な教訓や留意すべき事柄などを文書にまとめたもの。場合によっては、毎朝唱和し、日々の仕事や生活の見直し、確認をしていた。
家訓には二つの要素があるという。一つは先祖からの人生訓がそのまま伝わってきているもの。もう一つは、偉人の名言などが取り込まれたもの。
また家訓を考えた人自身が文書で残したものもあれば、口伝を子孫が文書にしたものもある。さらに家訓という形でなくても当人の思想をわかりやすく後世の人に伝えようとしたものが文書で残っているようなものもある。これらはすべて家訓といってもよいだろう。
何百年もの時を超えて伝わってきている言葉には、どんな時代にも普遍性があるように思う。
渋沢栄一の信念が垣間見える家訓
新一万円札の肖像となる渋沢栄一も家訓を残している。栄一が残した三つの家訓の一「処世説物の網領」の中から二項目を紹介する。
「益友(えきゆう)を近け、損友を遠け、いやしくも己にへつらう者を友とすべからず」
これは、「自分の生き方にプラスになる友と付き合い、得ることのない友は遠ざけ、間違っても自分ににへつらう者は友にしてはならない」ということ。
会社経営でもこの益友・損を念頭に置いて人付き合いをした渋沢栄一は、子孫や後進たちにコミュニケーションの極意を授けたのだろう。
もう一つはこれだ。
「富貴に驕る(おごる)べからず、貧賎をうれうべからず、唯知識を磨き徳行を修めて真誠の幸福を期すべし」
「金持ちで地位身分が高くても思い上がった振る舞いをしてはならない。ただただ知識を磨き、徳の高い行いを積み重ねて本当の幸福を目指すべきである」
驕ったり偉ぶったりすることのなかった渋沢のもとにはたくさんの協力者が現れ、そのおかげで事業を成し遂げることができたのではないだろうか。
家訓は自らを律し、大切な人との絆を強める
渋沢栄一自身が家訓を残したのは、後世の人々に伝えたい思いがあったから。重要なのはだれに伝えたいか。これが家訓と座右の銘との違いだ。家訓には子孫に自身の意思や考えを共有してもらいたいという思いが込められている。
私たちも家訓をつくってみてはいかがだろうか?自らの価値感を見直し、家族や大事な人と言葉を共有することで絆を強めることにもなるだろう。
言葉は流れて消えていくものだが、よい言葉は時空を超えて私たちを叱咤激励してくれる。その言葉には命が宿っているから。
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